2021年のCOP26で、パリ協定の「1.5度目標」への取り組みが掲げられ、国内においても、2030年目標である46%削減の達成、2050年カーボンニュートラル実現が目標とされています。
2050年のカーボンニュートラル実現に向けては、再生可能エネルギーの導入を進めることはもちろんですが、そのためにはさらなる技術開発により脱炭素をより確実なものにしていかなければいけません。一方で再エネの技術開発や導入には長い時間を要するため、カーボンニュートラルへのトランジション期には、まず省エネルギーで化石エネルギーの消費量を減らしていくことが効果的です。
そして、省エネルギーに即効性があるのがコージェネレーションなのです。
現在のコージェネは、天然ガスなどの化石燃料を使用することが一般的ですが、カーボンニュートラルな燃料に移行しても使用可能です。 例えば、バイオマスは既にコージェネに使用され活躍しています。 産官学が連携して水素やアンモニアを燃料とするコージェネ機器の技術開発・実証試験が進められており、一部は商品化され始めています。
カーボンリサイクル燃料であるe-methaneや水素・アンモニアが一般的な燃料として供給されるカーボンニュートラルな社会においても、コージェネは高効率なエネルギー変換を実現し、貴重なカーボンニュートラルな燃料の節約に寄与します。
太陽光や風力などの天候の影響を受けやすい再生可能エネルギー(自然変動電源)の導入が増えて行くと、系統を安定させる調整力の役割も大きくなっていきます。
コージェネは「省エネ」と「調整力」の提供を同時に実現可能で、「再エネとの調和」をもたらすシステムです。
激甚化する国内の災害などにより、停電時のリスクへの対応が注目されています。コージェネは、停電時に非常用発電機としても活用できます*。
東日本大震災などの災害時に、オフィスビルや病院などで業務を継続できた事例は多く、マイホームにおいても停電時にエネファームによって生活を維持できるようになっています。コージェネは、平常時の「省エネ」といざという時の「レジリエンス」強化を同時に提供可能な「国土強靭化に貢献」するシステムです。
*停電時運転機能を有するコージェネの場合
2021年10月に「第6次エネルギー基本計画」が閣議決定され2050年カーボンニュートラルに向けたエネルギー政策の道筋が定められました。その中でコージェネは分散型エネルギーリソースの1つとして重要な役割を与えられました。
翌年には「省エネ法」が改正され、再生可能エネルギーの大量導入に伴う電気の需要最適化が重点項目となりデマンドレスポンスの実施回数の報告が義務付けられる方向となっています。既存のコージェネを活用することにより上げ、下げ両方のデマンドレスポンスに貢献することが可能です。
2023年には「GX実現に向けた基本方針」のもと「GX推進戦略」が定められ、「熱需要の脱炭素化・熱の有効利用に向け、家庭向けにはヒートポンプ給湯器や家庭用燃料電池などの省エネ機器の普及を促進するとともに、産業向けには産業用ヒートポンプやコージェネレーションも含めた省エネ設備等の導入を促進する。」とコージェネの位置付けが明確に示されました。
また、同2023年の国土強靭化基本計画では、コージェネレーション、燃料電池等によりスマートコミュニティの形成や地域、ビル、病院、避難所、各家庭等における自立・分散型エネルギーの導入促進を図ることが示されています。
温室ガスの排出削減を義務付け
コージェネは分散型エネルギーリソースとして重要な位置づけ
GXに向けた脱炭素の取り組みの一つとして、熱の有効利用に向けコージェネの導入を促進
2050年に達成を目指す
コージェネをデマンドレスポンスに活用することで
電気需要を最適化
コージェネ等により、
自立・分散型エネルギーの導入促進、
エネルギーの多様化と供給源分散化